研究開発

知るほどスゴい麹甘酒のチカラ Vol.2 [健康効果編]

便通改善は「麹菌によるもの」と特定

八海醸造ではかねてから麹甘酒に便通改善効果があることを報告していましたが、2021年に改めて関与成分を同定するための試験を行いました。内容は、便通頻度が1週間に2~5日の2群の健常成人(22人ずつ)のうち、一方には麹甘酒を、もう一方には麹菌や麹の成分が含まれていないプラセボ飲料を、それぞれ3週間にわたって毎日118gずつ飲み続けてもらい、その後にどちらも飲用しない観察期間を2週間設けるというものです。この試験の結果、飲用期間中の2週目から観察期間中の4週目までにおいて、麹甘酒の飲用群では、1週間あたりの排便日数および排便回数が有意に改善しました。(下表点線囲み部)

また、麹甘酒を飲用したグループの腸内細菌そうは、プラセボを飲用したグループと比較し、飲用3週間後においてブラウティア属(※1)が減少し、バクテロイデス属(※2)が増加していることも確認されました。私たちはこのような菌叢の変化が便通改善に寄与したと考えています。さらに、何がこうした菌叢変化をもたらすのかを考察するため、麹甘酒に含まれるオリゴ糖、グルコシルセラミド、麹菌という3つの候補成分に絞り込んで検討を重ねた結果、麹甘酒のみに含まれている麹菌そのものが便通改善の機能性関与成分であると結論づけました。

  1. ※1 グラム陽性菌で、一般的にヒト腸内細菌叢に存在している菌
  2. ※2 グラム陰性菌で、オリゴ糖を資化する能力が報告されている

大腸炎予防

新潟薬科大学・新潟県農業総合研究所食品研究センターとの共同研究※により、ラットに「麹甘酒および乳酸発酵させた麹甘酒を通常餌に混合した試験飼料」を摂餌させた後、強制的に大腸炎を起こし、症状の程度を検証しました。その結果、大腸の「炎症・出血」などの症状が抑えられることが確認され、麹甘酒および乳酸発酵甘酒に大腸炎を予防する効果が期待できることが明らかとなりました。

※本研究は内閣府地方創生推進交付金によって行われました。
出典: 日本農芸化学会2019年度大会講演要旨集3B5p12

中性脂肪低下

東京農業大学および公立碓氷病院との共同研究で、透析患者の便通改善を目的に麹甘酒118gを3か月間継続飲用していただいたところ、便通改善効果の他に、飲用前と比較して79%の患者で中性脂肪の低下効果が認められ、平均12.9%(p<0.05)低下しました。

出典: 第62回透析医学会学術集会・総会プログラム集, 124(2017)

疲労軽減

東京農業大学との共同研究により、麹甘酒によるスポーツ選手のトレーニングの疲労軽減効果を調べました。大学陸上競技部に所属する長距離選手(男女各10名)の半数に14日間の合宿期間中に麹甘酒を飲用してもらい、起床後と練習後に「自覚症」と「疲労部位」を調査した結果、男女とも、麹甘酒を飲用してもらった選手たちの疲労度(特に下半身)が軽減されていることが明らかになりました。

出典: Jpn. J. Sport Health Sci., 6, 37-48(2019)

関節痛緩和

同志社大学大学院生命医科学研究科・米井嘉一教授とともに、麹甘酒と米糖化液(麹の原料である蒸米を酵素糖化して、グルコース量・カロリーを麹甘酒と同じにしたプラセボ。麹由来成分を含まない)の飲用比較による研究を行いました。その結果、麹甘酒の継続的飲用により関節痛の緩和効果がある可能性が示されました。

出典: J. Brew. Soc. Japan, 115, 159-172(2020)

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