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酒蔵の中では合理性や効率だけでは物事は動かない 新技術にすぐに飛びつかない。悩みでもあり誇りでもある コンピュータ制御の精米機が精白度を飛躍的にアップさせた
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昔の精米は経験とカンが頼り | |||||||||||||
コンピュータ制御の精米機は、米粒の温度の上昇をセンサーで見張り、温度の変化に合わせて精米のスピードを制御していくから、昔ならとても不可能だった高精白が可能になった。今では35%精白も実現している。 協同精米所の責任者は棚村公一さんである。棚村さんは66歳。父親の棚村今朝吉さん(故人)の代から、地元で農業をしながら、八海山で精米を担当してきた。 「胴割れさせるなと昔はやかましく言われたものだよ。だけど、米の状態はその年によって違うからね。今年の米はやっこい(柔らかい)から、なるべく時間をかけてやってくれとか注文されたりして、精米には気を使ったもんだよ。精米機の中はロールに米を押しつけるようになっているんだが、どのぐらいの力で押しつけるかは錘で調節した。それも経験とカンが頼りだったからね」(棚村公一さん)
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連続蒸米機が登場。「釜を割れば一人前」と言われたのも今は昔 酒造りにはその他いろいろな機械が使われているが、その中でも、もっとも機械化の効果 が著しかったものの1つが精米機なのである。また、連続蒸米機によって均質に米を蒸すことも可能になった。連続蒸米機が登場する前は、大きな釜で米を蒸していたが、釜ではどうしても下のほうの米は蒸しすぎになりがちだった。また、どうかすると、釜が熱で割れることもあった。いい蒸米を造るためには高温の蒸気がほしい。そのため、どんどん火を炊く。だが、炊きすぎると釜が割れてしまう。 ずっと前のことだが、ある時、八海山の蔵の釜が割れてしまった。南雲会長が自らトラックのハンドルを握って、メーカーへ走ったことがある。釜が割れてしまえば、米を蒸すことが出来ない。新しい釜が届くをのんびり待っているわけにはいかないのだ。 「でも俺は怒らなかったよ。むしろ、釜を割った人間を誉めた。よくやったと」(南雲会長) 酒蔵では昔から「釜を割れば一人前」と言われてきた。釜が割れるくらいの高温の蒸気でないと良い酒を造るのに適した蒸米が出来ないという意味で、これが出せるようになれば一人前だということだ。しかし、今は、昔ながらの釜で米を蒸すのは大吟醸酒などで使う米で、その他は連続蒸米機で、釜が割れる心配をしなくても、いい状態の蒸米ができるようになった。 一見些細にみえるこだわりが、蔵の隠し味 |
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