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2001/5月
 
 
 

 長い間の試行錯誤を重ねた末に、記念大吟醸の容器、ひょうたんボトルがやっと完成し、すでにお手元にとどいているお客様もいらっしゃることかと思います。
 さて、このひょうたんボトルをデザインしていただいたのは、日本のパッケージデザインの第一人者、木村勝氏。
 デザイン決定から完成品まで約2年。今回のボトル物語は、ひょうたんボトルに込められた木村勝氏のメッセージを、インタビューというかたちでお伝えしようと思います。

 「パッケージデザインは、時代とともにだいぶ変わってきましてね。もともとは個々の会社なり企業なりお店なりが、そこの責任者や御主人の趣味嗜好でパッ ケージのデザインをつくっていたんです。それが、ここにきて無駄の無い、合理的なものというように変わってきたんですね。趣味とかアート性とかよりもマー ケティングデータが重要視され、今回のチタンを使ったひょうたんの容器のような個性的な仕事はほんとに珍しくなりました」
 木村勝氏のお仕事の軌跡をたどれば、ここ数十年の日本のパッケージ史をひも解けるほど、常に第一線で活躍してこられました。
 私たちの記憶に残るものだけをあげても、サントリーのペンギンズバーデザイン、人工スキー場“ザウ ス”VIデザイン、サランラップパッケージデザインなど、社会の最先端の感覚を示しながら、一方では中国醸造“はこ酒”デザイン、正田醤油CI計画総合 ディレクションと日本の伝統に基づいた商品戦略にもふかくかかわってこられた木村氏に、今回の八海醸造の記念ボトルに御尽力いただけたのは、私共にとって 望外のことであったと感じています。
 今回の依頼をうけて木村氏がデザインのコンセプトとしてお持ちになられた想いはどんなものだったのか、最初にお聞きしました。
 「最近、日本酒の瓶のデザインでも、若い人の好みに合わせようということで、どんどん洋酒の瓶のデザインに近づいています。僕は、ああいう行き方は違う と思っているんです。日本酒は日本酒、ワインはワイン、ウィスキーはウィスキーとそれぞれにアイデンティティーがあるわけですから、それはきちんと守って 然るべきだろう。日本酒なら日本酒のアイデンティティーを大切にしていくべきだろうと思いますよ」

 

 

 

 

 

 今から14、5年前、サントリーのペンギンズバーも木村氏の仕事の一つ。いままでのビール缶の概念を打ち破った斬新なデザインで、ライトビールとしては驚異的な売り上げをあげました。
 今回の場合、ビールと日本酒、季節商品と1000年に1回の記念ボ トルというように商品コンセプトに大きな違いがあります。それが容器デザインとどう関わってくるのか、お聞きしました。
 「ペンギンズバーの場合は、その時短い期間だけ売れればいいというのがあったんですが、今回の場合は、1000年に1回の企画なんですね。ぱっと売れ て、さっと引っ込めればいいという訳にはいかない。どんなに時間が経っても飽きられないものという中で考えたのは、日本酒のルーツということなんです。そ の歴史の中で、その容器はもともとどういう形をとっていたんだろうか、その一つとして“ひょうたん”があるわけです。
 私は日本酒を毎晩飲んでいます。だからこそ、日本酒の容器が変なふうに変わっていくことには堪えられない。単に新しいものという感覚でデザインするよ り、昔風のヒゲ文字で書かれたデザインの方が、よっぽど日本酒の美味しさを表現しているんではないかと思うんですね。モダンなデザインも考えましたけど、 そういうものは得てして長い時間の中では飽きがきてしまうんです。出来るだけ自然な形にしようと思い、最終的に”ひょうたん”という形を選んだんです」

 八海醸造側の商品コンセプトとしては、まず商品そのものが八海醸造の技術の集大成であるということ。そして、お買い上げいただいた商品が末長くみなさん の記憶の中に残していただけるものにするということです。そして、商品形態として610ミリリットル2本セットという提案を致しました。
 それを受けて、木村氏から“雄ひょうたん”“雌ひょうたん”という発想をいただきました。雌雄の対のデザインによって、2本セットであることの意味を示そうというお考えです。
そして、その特徴を出すために木村氏が要求されたのが、チタン容器としては今までに類が無いほど繊細な曲線をもったデザインでした。

「私としてもチタンを扱うのは始めてでした。堅い素材なので、微妙な曲線や首の形などがなかなか思うよ うにならない。それをどこまでやるのかということで、現場の人たちにも大変な苦労をかけました。デザインから成型まで2年かかったんですが、メーカーの人 たちもチタンでこういう細かい作業というのは始めてで、なおかつこれが工芸品みたいに2点か3点しか作らないものではなくて、数千点作るものでしたから、 大変だったでしょうね。とにかく、こういう形に溶接するだけでも初めてですから、試行錯誤の連続と申し上げてもいいかと思いますよ」

 

 製作期間のほとんどは作っては壊し、また作るという作業の連続でした。成型を担当した工場には、製作途中で捨てられた試作品が山のように置かれています。こうした苦労の末に、この美しい曲線を持つチタンボトルがあるのだと想います。 
「私は、これを買って下さった皆様にわかっていただきたいなと思うことがあるんです。それは、マーケティングやデータということが先行し、売りやすいも の、売れるものという形だけで商品が作られていく今の時代に、自分たちが呑んでいただきたいものはこういうお酒ですよということをきちんと主張している存 在は、とても大切だと思うんです。いうなれば、売れる商品ではなくて、売りたい商品、誇りを持てる商品を提供し続けるという姿勢なんですね。わたしは、そ の思いを伝えるためにデザインしたと思っています。チタンは、とても使い勝手のいい素材です。お燗をしたり、冷やしたりするための容器としても、とても便 利なものです。中身の大吟醸酒を呑み終わってからも、様々なかたちで末長く使っていただきたいと思いますね」
 約1時間に及ぶインタビューで感じたことは、パッケージには商品の顔としてそれを生み出した技術やこころが十分に表現されていなければならない。そのためには、その作る人にもまた、その商品を愛していただけなければならないということです。
 最後に、木村氏は、こう締めくくられました。
「まだね、私としては全てが満足というわけではないんです。出来ることはすべてやった、これ以上は無理ということはわかっているんですが、まだ、どうにかならないかなと思っているのは、正直なところなんですよ」
 2年間をかけてもまだ満足がいかないという言葉に、この仕事に対する木村氏の想いがにじみます。ありがとうございました。

 文;中島太一

 

1.酒になる米「山田錦」の故郷を訪ねて
2.八海山最高の酒造りを求めて
3.大吟醸を仕込む【1】原料処理からもと造り
4.大吟醸を仕込む【2】三段仕込み、もろみ、上槽
5.造りを終えて大吟醸が生み出したもの
6.お酒を収める容器について
7.料理とお酒-前編-
8.料理とお酒-後編-
9.お客様の声より

 

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