最新情報
会社について
製品について
2000/12月
 
 
 

 冷え込みが、一段と厳しくなってきました。
 この時期、東京の神楽坂にある割烹越野(こしの)では自家製のカラスミを作ります。 このボラの卵を塩漬けにしたものを干してつくる逸品は冬の季節の酒の肴(さかな)として愛飲家にはとても親しまれています。このカラスミを楽しみに、お店 に来るお客様も多いということです。
 和食には酒の肴、というジャンルがあります。これは西洋料理のオードブルというものとは少し違っているような気がします。ぶりの刺し身を肴にとか、焼き 鳥を肴になどというようないいかたをするように、それそのものが料理としてメインを占める 場合が多いのがオードブルに対する、いわゆる肴の特徴です。
 前回、フランス料理とイタリア料理のシェフに、それぞれにおける料理とお酒の関係についておうかがいしました。そこにはその料理とお酒を生み出した風土そのものがあるように感じました。今回は和食を中心に、料理とお酒について考えたいと思っています。

 越野の御主人、桜井光夫さんは日本料理の板前として修行を重ね、10数年前に自分の割烹料理のお店を出しました。いまのお店は3年ほど前に料亭だった建物を改装して出店しました。
「日本の社会では人が集まるところでは料理とお酒というのはかかせないものなんです。例えば、お茶席でもまず料理とお酒が出てお腹を半ば満たしてから甘い お菓子が出ます。そこに濃茶が供せられるわけです。つまり、料理とお酒は一体となって、まず人を和ませたり楽しませたりするわけです。」
 桜井さんによれば、料理は素材を手に入れるところから始まります。市場に出かけ、山や川、海でとれたもののなかからその日一番いいものを仕入れ、その素 材のもつ良さを一番引きだすべく料理をする。つまり、和食はなによりも素材の持ち味が大切なのです。それに供せられるお酒というのは、素材の持つ良さを打 ち消すようなものであってはならないといいます。
 では、お酒が個性を持たない味気ないものでいいのかというと、やっぱりしっかりとした主張のあるお酒でないと料理とは合わないのだそうです。
「もちろん料理によって合うお酒というのも多少は違うと思います。例えば、今の季節の戻りガツオには少ししっかりとした味わいのあるいわゆるボディータイ プの日本酒がいいと思いますし、ハモなんかではあっさりした飲み口のお酒がいいとは思います。どちらにしても飲む人の好みもありますし、料理と一緒に美味 しく飲める酒ということが基本です」
 越野では、日本酒は八海山を中心に数種類置いています。いずれも新潟のお酒が多いのですが、初めてのお客様には、まずいつもどんなお酒を飲んでいるか聞 いて、それを基準にしてこの料理ならこんなお酒はどうですか、とすすめるといいます。やはり人によって好みは違うわけですから、ということです。桜井さん 自身がお酒の持ち味を判断する場合は、自分が作った汁物と野菜の煮物の味に合うかどうかを基準としているそうです。「これから、カブの煮たのが美味しいで すから、食べにきて下さいよ」との一言。自家製カラスミとカブの煮物、いかにもお酒がすすみそうです。


神楽坂『越野』桜井光夫さん

 


飯田橋『主水』

 

浮ヶ谷伸夫さん

 

 ところで、蕎麦酒って御存知ですか。
お蕎麦を肴にお酒を飲むのですが、お蕎麦の風味がお酒を引き立て、お酒がお蕎麦のうま味をさらに際立たせるといって、江戸っ子達の定番のお酒の飲み方でした。
その伝統を引き継いでいるのが、飯田橋駅に近い主水(もんど)というお店。御主人の浮ヶ谷伸夫さんが御自分の趣味である蕎麦作りを生かして始めたというこのお店は、いかにもそれらしく、まずそばの旨さを売り物としています。
 御主人が一番重視しているのは、蕎麦ののど越し。このお店の蕎麦は四角くて細目に打ってあります。蕎麦粉は国産100%、とくに北海道川上盆地でと れたものをつかっています。この産地の蕎麦粉は香りがとてもいいのだそうです。
 日本酒は、八海山の普通酒から大吟醸酒まで全種類置いています。
「蕎麦に合うお酒というのは、蕎麦のもつ淡い味を引き立ててくれるものじゃないとだめですね。お酒を飲みながら蕎麦を食べると、蕎麦の甘さがでてくるんです」
 このお店を出すときから、日本酒は八海山一本でいきたいと思ったのだそうです。どうして八海山だったのか、お酒とお蕎麦の関係をお伺いすると、「まず、 蕎麦屋ですからお蕎麦が美味しい。そのお蕎麦をさらに美味しく食べるためのアテとしてぴったりのお酒を探したわけです。それが八海山だったわけですね」

 この店には、いわゆるそば屋の定番メニューを中心にいろいろな食べ物も用意されています。なかでも、や き味噌が絶品。卵焼きのふわっとした触感も捨てがたい。季節の魚もいいものがそろい、いわゆる料理屋としても高いレベルにあると思うのですが、 御主人は、あくまで「うちの料理は、蕎麦を美味しく食べるためのお酒を美味しく飲むための料理なんです」と蕎麦屋にこだわります。このこだわりに、八海山 が応えてるとしたら、うれしいかぎりです。
 こんなふうに、料理とお酒についてあれこれと考えてきました。結論が出るような問題ではないとは思いながら、やはりお酒というのはその国や地域の持つ食 文化を象徴するものなのだなあとつくづく感じました。特に日本料理における日本酒は、料理の素材のもつ持ち味を十分にひきだし、それを高めていく優れた料 理人達とともにあり続けることが大切なのでしょう。彼らが全力で作りだす料理とともに、自分たちが理想とする味わいを持つお酒を私たちもまた追い求め続け ていく。八海山というお酒がそういうお酒であり続けることが、私たちの仕事だと考えています。
 21世紀に向かって、今静かに蔵の中で眠っている記念大吟醸の原酒が、その一つの証しでありたいと思っています。

 

 

取材協力

割烹 越野

東京都新宿区神楽坂3-1

電話 03-3235-5600

手打そば 主水

東京都新宿区下宮比町2-28 飯田橋ハイタウン1階

電話 03-3260-4152

文 写真  中島太一

 

 

1.酒になる米「山田錦」の故郷を訪ねて
2.八海山最高の酒造りを求めて
3.大吟醸を仕込む【1】原料処理からもと造り

4.大吟醸を仕込む【2】三段仕込み、もろみ、上槽
5.造りを終えて大吟醸が生み出したもの
6.お酒を収める容器について【1】
7.料理とお酒-前編-

 

preload preload preload

| ホーム | 最新情報 | 会社について | 製品について | お客様相談室 | サイトマップ | 採用情報 | プライバシーポリシー | Global |
Copyright 2018 HAKKAISAN BREWERY CO.,LTD. All rights reserved.