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2000/2月
 
 
 

 2月7日、21世紀の大吟醸の最後の留仕込みがおわりました。留仕込みとは、日本酒の三段仕込みの中で、添え、仲、留め、の作業の最後に行われるものです。この作業でいわゆる仕込みは終わり、もろみは本格的な発酵の段階に入ります。
 今回の大吟醸の仕込みが始まったのは、今年の1月5日。まだ、正月の飾りも取れないころでした。今回のお酒は、山田錦特上米を原料米として使用する大吟 醸酒です。八海醸造は、大吟醸を自分たちが製造する全てのお酒の指針とするための酒造りとして長年続けてきました。つまり、商品として世に出すことを目的 にするのではなく、自己研鑽、自らの技術的な向上を目指して造る酒として取り組んできたのです。そして、それはこれからも変わることはありません。

 


 今回の原料米は、35%精白米です。ここまで磨いた米は乾いてもろくなっています。そのお米を扱うのが原料処理部門です。精米の終わった米を一定期間空 気にならし、それを水で洗って吸水させ蒸すまでの仕事を担当します。この原料処理の責任者である棚村靖原料処理係長は、このひと月、毎朝、4時過ぎには作 業場に出て、蒸しの準備にかかる生活が続きました。
「最初、次長から説明を聞いた時、正直言ってちょっと不安だったんです。やれるかな、身体がついていくかな、って。でも、ひと月近くこういう生活を続けていると、身体がそうなっちゃって、やれるもんですね」
 磨かれて乾いたお米を、水に浸ける洗米・浸漬の時点で米を壊すことなくどれだけ水を吸収させるか、いわゆる吸水歩合が、原料処理で最も大きな課題となり ます。今回の麹米の吸水歩合は33%。従来の大吟醸より0.5%少なく調整しています。もちろん、それらは米の種類や精白度、または麹米や掛米など用途に よって決まるのですが、洗米という最も初期段階の作業においても、ここまでの精度を要求されるのが、大吟醸の仕込みなのです。
「やっぱり難しかったですよ。なかなかピタリというわけには行かなかったんです。どうしても、0.1%くらいは違ってしまう。でも、最後には出来たんで す。洗米後の吸水歩合が目標にしていた数値とピタリとあったんですね。やればやれるもんだな、って思いましたよ」

 

 


 麹造りは酒造りの工程で最も重要であり、難しいとされています。現場は南雲重光製造部次長が直接指揮をとり、麹造りのベテランスタッフが加わります。そのなかで阿部秀一製麹係長は、大吟醸の麹造りに携わるのはこれが初めてでした。
「ずっと普通酒、本醸造の担当だったんです。本当に良い経験をさせてもらいました」
 1回分の仕込みの麹を造るのに2昼夜かかります。蒸し米を製麹室にいれ、菌を撒き、成長させて麹を造ります。その間、昼夜を問わず微妙な室温や湿度の調 整を行い、手を入れます。実際に行う作業だけで7回から8回あり、それらが全て菌糸の成長具合によって決められるため、いくつかの作業は夜中に行うことに なります。麹の担当者は一日おきに泊まり(夜勤)がありますが「泊まり」といっても、寝室で寝ていられるわけではありません。麹むろに詰めて仮眠をとるの がせいぜい。そうした厳しい状況が1カ月続きました。
「目標の品質を持った麹を造るためには、あらゆることをしなくてはいけないんです。身体がつらいとか眠いとか、そういうことで仕事が左右されることは許さ れません。とにかくいい麹を造る。それだけが全てなんですね。今は精一杯やったという気持ちがあります。そして、造った麹全てが全く問題のない、最高のも のに仕上がったという自信もあります。先輩の皆さんの後についていって、良い経験をしたなあ、と思ってます」

 


 もと(酒母)造りの担当の田中勉酒母係長は、昨年の造りで初めて大吟醸の、もと(酒母)、を任されました。もと(酒母)は、本仕込みであるもろみのため に優良で健康な酵母を育成する目的で行われます。酵母、水、麹を入れた水麹といわれるものの中に蒸し米を入れ、2週間酵母を培養させます。その量は非常に 少ないため、品温の変化が激しく、管理が難しくなります。大吟醸の酒母造りでは、1日6回、櫂を入れることになっています。そのつど、検温をして状態を確 かめます。
「今回の大吟醸では、精白度が高いため、米が早く溶けてそれだけ養分が出過ぎてしまう傾向があったんです。そのために、それを押さえる工夫をしなければな りませんでした。具体的には、品温の温度変化を緩やかにして行く作業をしました。しかし、こういう作業は必要があればいつもやることで、21世紀を記念す る大吟醸だからといって特別なことではないんです。だいたい大吟醸というのは全ての酒の基本ですから、ほかの酒と造り方がどう違う、とか、特別に何をす る、というのではないんです。違うといえば“意気込み”でしょうね。大吟醸は、私たちが酒造りに対して持っている夢や情熱を全て注ぎ込んだ酒なんです」

 

 21世紀を記念して造られる大吟醸は、その仕込みを無事終了しました。もちろん、これからもろみの発酵を管理する、という大変な仕事がありますが、大き な山は越したと言っていいと思います。その中で、蔵人は様々な体験をし、思いを持ったようです。それらはみな、この酒の中に溶け込んでいます。全てを包み 込んでゆっくりと穏やかに発酵していくこの酒が出来上がるのを楽しみに待っていて頂きたいと思います。

 

文・中島太一 写真・安宅康二

 

1.酒になる米「山田錦」の故郷を訪ねて
2.八海山最高の酒造りを求めて

 

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